作業療法士を目指す方や、現在働いている方にとって、将来の生活を左右する「年収」は非常に気になるテーマではないでしょうか。リハビリテーションの専門職としてやりがいのある仕事ですが、一方で「給料が安いのではないか」という不安の声も耳にします。
この記事では、厚生労働省の統計データなどを参考に、作業療法士のリアルな年収事情や手取り額、年齢別の推移について詳しく解説します。また、就業場所による給与の違いや、確実に収入をアップさせるための具体的なキャリアプランについても触れていきます。
これから作業療法士を目指す方も、キャリアアップを考えている方も、ぜひご自身の将来設計にお役立てください。

作業療法士として働くうえで、まず把握しておきたいのが平均的な年収と手取り額の相場です。統計データを見ると、作業療法士の給与水準は日本の平均的な給与所得者と比較しても、決して低いわけではありませんが、年齢や経験年数によってその推移には特徴があります。ここでは、具体的な数字を交えながら、お金にまつわる実態を見ていきましょう。
厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、作業療法士(理学療法士含む)の平均年収は約430万円前後となっています。年齢別に見ていくと、経験を積むごとに緩やかに上昇していく傾向があります。
年齢階層別の推定年収イメージ
| 年齢 | 平均年収 | 月収目安 |
|---|---|---|
| 20代前半 | 300〜350万円 | 20〜23万円 |
| 20代後半 | 350〜400万円 | 23〜26万円 |
| 30代 | 400〜450万円 | 26〜30万円 |
| 40代以降 | 450〜550万円 | 30〜38万円 |
初任給の時点では一般企業と大差ありませんが、役職に就かない限り大幅な昇給が見込みにくいのが現状です。そのため、20代から30代にかけての伸び率はやや緩やかであると理解しておくとよいでしょう。
作業療法士の給料は、勤務する施設の形態によっても大きく異なります。一般的に、医療機関よりも介護系サービス、特に訪問系サービスの方が給与水準が高い傾向にあります。
就職先を選ぶ際は、目先の月給だけでなく、昇給制度や退職金の有無なども含めて総合的に判断することが大切です。
求人票に記載されている「額面給与」と、実際に銀行口座に振り込まれる「手取り額」には差があります。一般的に手取り額は額面の約75〜80%程度になると考えてください。
例えば、年収400万円の場合のイメージは以下の通りです。
ボーナス(賞与)は年2回、基本給の3〜4ヶ月分が支給される職場が一般的ですが、施設によっては業績連動型であったり、年俸制でボーナスが含まれていたりすることもあります。生活費の計画を立てる際は、ボーナスに頼りすぎない毎月の手取り額を把握しておくことが重要です。

インターネット上などで「作業療法士の給料は安い」という意見を目にして、不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。確かに、全産業の平均と比較して突出して高いわけではありませんが、安定性や働きやすさといった面も含めて評価する必要があります。ここでは、他職種との比較や、給与構造の背景、そして生活の安定性について深掘りして解説します。
医療・福祉業界の中で、作業療法士の年収はどの程度の位置にあるのでしょうか。主な職種と比較してみましょう。
医療・福祉職種の平均年収比較(目安)
| 職種 | 平均年収 | 特徴 |
|---|---|---|
| 看護師 | 約500万円 | 夜勤手当等の影響で高め |
| 作業療法士 | 約430万円 | 理学療法士とほぼ同水準 |
| 介護福祉士 | 約360万円 | 処遇改善手当等で上昇傾向 |
| 薬剤師 | 約580万円 | 医療系資格の中で高水準 |
看護師と比較すると、夜勤の頻度が少ない(または無い)職場が多いため、年収は低くなる傾向があります。一方で、介護職と比較すると、国家資格としての専門性手当などが加算される分、年収は高めに設定されています。理学療法士(PT)や言語聴覚士(ST)とは、ほぼ同じ給与体系であることがほとんどです。
作業療法士の給料が上がりにくいと言われる背景には、日本の医療保険・介護保険制度の仕組みが関係しています。
個人のスキルが高くても、それが直接的に売上増につながりにくい構造があるため、劇的な給料アップが難しいのが現状です。しかし、これは裏を返せば、個人のノルマに追われすぎず、安定して働けるという側面でもあります。
「作業療法士の収入で結婚や子育てはできるの?」という疑問を持つ方も多いでしょう。結論から言えば、十分に可能です。
医療・介護業界は景気に左右されにくく、リストラのリスクが低いという大きな強みがあります。また、産休・育休の取得実績が高い職場が多く、ライフステージが変わっても長く働き続けられる環境が整っている点は、長期的な家計の安定にとって大きなメリットと言えるでしょう。

平均的な給与事情は理解できても、「もっと年収を上げたい」「将来のために余裕を持ちたい」と考えるのは自然なことです。作業療法士が収入を増やすためには、漫然と働くだけでなく、戦略的なキャリア形成が必要です。ここでは、具体的かつ現実的に年収をアップさせるための3つの主要な方法をご紹介します。
現在の職場で年収を上げる王道の方法は、組織内での評価を高めることです。
また、資格取得は転職時のアピールポイントとしても強力です。まずは就業規則を確認し、どのような手当が設定されているかチェックしてみましょう。
現在の職場での昇給に限界を感じる場合は、給与水準の高い職場への転職が最も即効性のある手段です。
特に訪問リハビリテーションは、訪問件数に応じたインセンティブ制度を導入している事業所が多く、頑張り次第で年収500万円〜600万円以上を目指すことも可能です。また、公務員作業療法士(公立病院や自治体勤務)になれば、毎年の定期昇給が確実で、退職金や福利厚生も手厚いため、生涯年収を高く保つことができます。
転職エージェントなどを活用し、自分のスキルや経験が高く評価される職場を探すことが、年収アップへの近道となります。
働き方改革により副業を解禁する職場が増えており、本業以外の収入源を持つことも有効な選択肢です。
ただし、副業を行う際は必ず本業の就業規則を確認し、本業に支障が出ない範囲で行うことが鉄則です。複数の収入源を持つことは、精神的な余裕にもつながります。

作業療法士の年収は、平均約430万円前後と医療職の中では標準的な水準ですが、安定性の高さは大きな魅力です。初任給からの急激な昇給は難しいものの、訪問リハビリへの転職や管理職への昇進、資格取得によるスキルアップなど、年収を上げるための選択肢は確実に存在します。
大切なのは、「給料が安い」と嘆くのではなく、ご自身のライフプランに合わせてどのような働き方を選ぶかという視点です。国家資格である作業療法士は、景気に左右されにくく、長く働き続けられる職業です。ぜひ、将来を見据えたキャリアプランを描き、納得のいく収入とやりがいのある仕事の両方を手に入れてください。

作業療法士の年収や給料について、よく寄せられる質問をまとめました。就職や転職を検討する際の参考にしてください。